毎年ユニークなアイデアでカレンダーを発表し続けている植原亮輔の2018年カレンダーは「POPs」。ハッとさせられるような斬新な発想はどこから生まれてくるのか、カレンダーにかける思いをきいてみました。

いつか手書きだけのカレンダーをつくりたいと思っていた

−−今回のカレンダーはお店のポップの文字がテーマだとか。アイデアはどこから生まれてきたのでしょうか。

「若い頃に見つけたスーパーのチラシがあったんです。全部手書きで作ってあって、それがすごい見事で」

−−いわゆるスーパーのチラシですよね?今でも持ってるんですか?

「この間まではあったんですが、大掃除をしたら見当たらなくなってしまって」

−−残念。見てみたかったです。何年くらい前のものなんですか?

「それはもうほんと昔。ドラフトに入って入社1年目くらいだったかな。新聞に挟まっていた中から見つけて、なんかいいなぁと思ってずっと保管してたんです」

−−それがずっと頭の中に残っていた?

「そう。あと前に作った『Paper Jam』というカレンダーで、その時も手書きで文字を書いてデザインしていたんですが、その中の1つで、なぐり書きしたような数字を玉組みしたものがあって、それが何気に気に入っていたんです」

▼ 植原が手がけた2006年のカレンダー『Paper Jam』
Paper jam_P_04 紙を型抜きして1つの形として定着させるというテーマで制作したカレンダー

「例えば、普通の手書きの文字だけのカレンダーって誰も欲しいと思わないと思うんです。もちろん達筆だったら違うかもしれませんが、その時は全然達筆でも何でもなく書いたもので、むしろそれが良かったので、いずれは手書きだけのカレンダーが作れたらいいなぁと思っていました」

−−ずっとあたためていた企画だったんですね。文字はすべて実際に手で書かれたんですよね?

「はい、かなり練習しましたね。スタッフと一緒に作ったんですが、2人で何度も何度も練習しました」

−−12ヶ月毎月ちょっとずつ違う文字ですね

「そう、ポップの文字も調べて行くと地域によって微妙に違うんです。この書体の感じいいなぁとか特徴を観察しながら書いていきました」

−−何回も書き直してるんですね。大変でしたね。

「大変でしたよ。一発で上手く書ければ、もうポップ職人になれますからね(笑)」

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−−デザインのポイントはどういったところでしょうか。

「レイアウトが綺麗すぎてもダメ。むしろ無意識。無意識でやったものが意外と良かったりするんです。例えば1月は一枚目だし、分かりやすいほうが良いと綺麗にレイアウトしてあるんですが、2月はもう日曜日とか揃ってないんですよね」

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−−ほんとだ(笑)

「文字が重なっていたり、そこらへんはPOPらしさですね。これを綺麗にデザインしちゃうとPOPらしさがなくなってしまう」

−−確かに勢いがありますよね。

「5月なんか二週目と三週目の間にMAYって入ってますからね。これはスタッフが作業している時に後ろから見てて、それいいねー!といってその場で採用したもの」

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−−今回はそういったラフな感覚を大事にしながらデザインされているんですね。

「そうですね。ただラフと綺麗のバランスは考えて作っています。6月は紙を型抜きしてPOPのようにギザギザの形にしているので、玉組は綺麗に収めて、要素を絞ったりしています」

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日常と非日常の面白さ

−−今回、宮田さんからは全体のテーマとして「霽れの日」というお題がありました。

「ありましたね。僕の中ではハレとケの非日常(ハレ)と日常(ケ)というのをテーマにして考えました。POPというスーパーとか八百屋さんにある日常的のものが、デザインされて非日常的な商品に生まれ変わるということが面白いなと思っています」

−−確かに少し違和感というか、目新しさがありますよね。

「カレンダーというのは日常的なものなんですが、POP文字をカレンダーにするという発想は他にはなかったアイデアだと思います」

−−そうですね。

「そういった意味では非日常的なものに変わってるんじゃないかな」

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カレンダーがもたらすもの

−−カレンダーって植原さんの作るものの中で、何か他と違うところってありますか?

「カレンダーって1月から12月までいくにあたってつながりがありますよね。まずアイデアがあって、次にデザインの基準があって展開があります。そこにストーリーが生まれるんですよね。カレンダーにはそういう面白さがあると思います」

−−12枚の物語で1つのカレンダーを作るような感じでしょうか。

「そうですね、ちょっと特殊なデザインの仕事だと思います。ストーリー性とか、1枚1枚に力がないといけないとか。あと、やっぱりページをめくったときに新しい気持ちにさせなきゃいけない。なんか気持ちがパっとして、今月はやるぞっていう気持ちにさせる、そういうことがカレンダーにはやっぱり必要だと思う」

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−−現代ではスマートフォンなどデジタルが当たり前になる中で、最近は紙のカレンダーを使わないという人も増えてきています。このご時世にD-BROSがカレンダーを作り続けていくことについて、デザイナーの立場からどう思われますか?

「うーん。デザイナーというより、ひとりの人間として思うことですが、スマホってずっと見てしまいますよね。あれ良くないと思うんです。テレビも見続けると何故か消せなくなっちゃうことが昔あったんですよね。つまんないテレビをチャンネル変えてもずーっと見てるってことが。消すと寂しくなっちゃうんですよね」

−−あぁ、わかります。とりあえず帰ったらテレビつけちゃうみたいな。

「そう。ずっと見ていて、その上頭が痛くなっちゃう。一種の中毒ですよね」

−−依存症ですね。

「スマホも同じで、ずっと見ちゃって、消すとなんだか寂しくなるんです。それでまたすぐ見ちゃう。あれは良くないと思う」

−−本当にそうですね。

「なるべく、スマホやデジタルから離れる時間を作るというのも大事なことだなと思います。例えば、次の月のことを考える時に、カレンダーのところまで歩いていって、カレンダーをめくるという行為は指も使うし、腕も使うし、覗き込んだりもするし、いろんな動作が含まれます。スマホのように指一本で済ますのではなく、そういうことが、人間が人として健康でいられるために意外と大事なんじゃないかなと思います」

−−はい、わかるような気がします。そういう時間が1日の中で少しあるだけでも違いますよね。

「だから、こういう紙製品ってあった方がいいですよね。カレンダーに限らず、人間らしく生きるために紙製品をもっと上手く使おうよ、ということを伝えたいですね」

−−はい。世の中がデジタル中心になっても、D-BROSではずっと紙のカレンダーを作り続けていきたいです。

 

▼植原亮輔が手がけたカレンダー「POPs」はオンラインショップにてお買い求めいただけます。

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