D-BROSの定番「タイプフェイスカレンダー」は書体の美しさや特性を活かしたシンプルなカレンダーシリーズです。毎年ひとつの書体をテーマとして選び、2018年版の書体は「アヴァンギャルド」をセレクトしました。
一見シンプルで簡素に見えるカレンダーには、実はデザイン会社としてのこだわりがたくさん詰まっています。制作にかける思いを2018年版のデザイナー岩永和也、山川鎌にきいてみました。

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2018年の書体は「Avant Garde(アヴァンギャルド)」

−−アヴァンギャルドはどんな書体でしょうか?

岩永「アヴァンギャルドは元々は『アヴァンギャルド』という海外雑誌のタイトルのためにデザインされた書体です。アートや、芸術などを扱う雑誌で、当時相当奇抜というか、センセーショナルな印象を与えたのではないかと思います」

▼雑誌『アヴァンギャルド』1968年から1971年までの間に14号まで発行された芸術雑誌
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−−そうですね、独特の力強さを感じます。数字の0も特徴的ですね。

岩永「幾何学的な形ですよね。Futura(フーツラ)を参考に作られているようです」

▼幾何学的な図形によって骨格が成形されている書体
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▼アヴァンギャルドは任天堂の初代ゲーム機「ファミリーコンピュター」のロゴにも採用されている
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岩永「一個一個の書体には大きな特徴はないのですが、一つの文字の中にいくつかのパターンがあって、その組み合わせで面白い印象にもなります。とても遊び心がある書体ですね」

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山川「複数の文字を組み合わせて一文字にすることをリガチャ(合字)というんですが、このデザインがとても特徴的です」

▼CとA、CとOなどを組み合わせた文字。その他にも複数のリガチャがアヴァンギャルドに存在する。
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−−おもしろいですね。こういう特徴がある書体は他にもあるんですか?

岩永「あるにはありますが、ここまで多く存在しているのはなかなか珍しいと思います」

−−リガチャ文字はカレンダーの中に使われていますか?

岩永「使ってないです。タイトルやロゴとしての表現の時はとてもインパクトがあって面白いのですが、文字としては読みづらいのでカレンダーには採用しませんでした」

−−今回どういった点からアヴァンギャルドを選んだのでしょうか?

岩永:タイプフェイスカレンダーでは、毎年テーマとなる書体をセリフ(明朝体)とサンセリフ(ゴシック体)で1年ごとに交互で選んでいるので、今年はサンセリフでいきたいなと思っていました。昨年の「Garamond(ギャラモン)」がとても繊細な書体だったので、強い印象にしたいという思いもありました」

▼2017年はセリフ体の「Garamond(ギャラモン)」
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違和感を感じさせないデザイン

−−カレンダーをデザインする上で最も重要視するのはどういうところですか?

岩永「やはり1年間部屋に飾るものなので、壁に飾った時にどれだけきれいに見えるかというところですね。デザイン事務所なので、そこは徹底的にこだわってやっています」

−−具体的にはどういった作業になるんでしょうか?

山川「まずは細かいニュアンスを出すために、typony(アルファベットの書体大辞典)をスキャンして、ひとつひとつ文字をつくるところから始めました。数ヶ月間ずっとカレンダーにかかりきりになってしまって。D-BROSでは制作にこれだけの時間をかけることに驚きました」

−−なるほど。数字はすべて書き起こしているんですね。

山川「あと最も大変な作業が、横の水平と縦の垂直を揃えることです」

岩永「その作業を文字詰めというんですが、例えば、アヴァンギャルドの場合0が特徴的で幅が大きいので、左右の余白の見え方が変わってきてしまうんです。中心合揃えにしてしまうとガタガタに見えてしまうので、それを一個一個目で調節していきます」

山川「0.00ミリ単位の調整を何回も何回も重ねて整えていきます」

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−−すごく細かい作業ですよね。世の中のカレンダーはすべてそこまで細く文字詰めされているのでしょうか?

岩永「いや、そんなにやっていないものも多いと思いますね」

−−見てわかりますか?

岩永「わかります、わかります」

山川「パソコンで打った文字か、ちゃんと作ってある文字かもすぐわかりますね」

岩永「お客さんがどれだけ気にするかわかりませんが、最もきれいな組み方というのは違和感がないことだと思っています。この文字近いなとか、小さいなというのを感じさせない、自然に目に入ってくるレイアウトを心がけるようにしています」

−−なるほど。違和感を感じないからそういった細かい点に気づかないということですね。

岩永「そうですね、気づかないということはきれいにデザインされている証と言えるかもしれないですね」

−−今年のデザインで変更した点はありますか?

岩永「レイアウトは昨年から変わっていませんが、休日表記の色を変えました。今回は最初から強い赤でいきたいと思っていたんです。昨年までは蛍光っぽい色を使っていましたが、今回はクラシカルな要素と強さを表現したいと思いました」

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−−山川君はD-BROSのカレンダーづくりに初めての参加でしたが、どうでしたか?

山川「はい。最初は候補となる書体を探すところが始めたんですが、この世に何万とある書体からひとつを選ぶのがすごく大変で、途方もない作業だなと思いながらやっていました。でも、調べていくうちに書体の歴史も知ることができて、すごく勉強になりました。今までは、自分の好きな書体しか興味がなかったので、掘り下げて知ることができてとても面白かった。デザイナーとしてすごく良い経験をさせてもらいました」

 

デザイナーにとって書体とは?

−−ではここで、昨年岩永さんにした質問と同じ質問を山川さんに聞いてみたいと思います。書体とはデザイナーにとってどんなものでしょうか?

山川「グラフィックデザイナーにとっては一生付き合っていくものなので、どれだけ理解を深められるかが重要かなと感じています」

−−例えるならどんな存在ですか?

山川「うーん、難しいですね。なんだろう。料理の出汁のようなものでしょうか。ベースや基盤になるもの。そんなに目立ってるわけじゃないけど、それによって味が変わってしまうとても重要なものだと思います」

−−出汁(笑)おもしろいですね。

岩永「うん、でもそうかも(笑)」

−−好きな書体はありますか?

岩永「去年は『フーツラ』と答えましたが、最近ハマってる書体は『クラレンドン』ですね。太くて男っぽい書体なんですけど、今回のタイプフェイスの最終候補としても選んでいた書体です。今までは割りとかわいいデザインが多かったのですが、最近かっこいいデザインをしたいという気持ちが強くなってきて、今一番使ってみたいと思っている書体です」

▼クラレンドン
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山川「僕もクラレンドンが候補にあがった時に、すごくいいなと思いました」

−−カブりましたね(笑)

山川「岩永さんがすごくクラレンドン押しだったので、その影響を受けましたね(笑)」

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−−では最後に、タイプフェイスカレンダーでこれからやってみたいこと、もっとこうしていきたいと思うところはありますか?

岩永「レイアウトとしては11年間試行錯誤して、ベストなものにたどり着いたと思うので、継続して毎年この商品を発表し続けていくことが重要かなと思っています」

山川「このカレンダーが書体やデザインに興味を持つきっかけになってくれたらうれしいです」

−−そうですね、続けていくことが一番大事なことかもしれませんね。ありがとうございました。

 

▼岩永と山川が手がけた「2018タイプフェイスカレンダー」はオンラインショップにてお買い求めいただけます
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