——D-BROS GINZA SIX店のオープンから早くも2ヶ月が経ちました。銀座という場所でD-BROSがやりたい事、伝えていきたい事、GINZA SIXでのD-BROSの活動についてあらためて教えてください。

宮田「まずは、グローバル化した現代社会と日本人の生き方の関係というのがあります。日本には四季があり、花がいっぱい咲き乱れ、川が多く水の国とも言えます。そして、温暖な地域と厳しい寒さの地域があります。いろいろな意味で日本の季節は非常に豊かなものだと思います。その中で生れ育んで来た伝統工芸があります。

それらは、生活の一部としての道具がほとんどですね。それらの伝統工芸品には必ず季節が関係していました。伝統工芸品は季節の変わり目や季節とのけじめとかに合わせて生まれてきた文化です。その文化は長い時間をかけて、技術が完成され一つのカタチをなし得た、日本の伝統文化と言えます。

しかしグローバル化した現代社会にとって、世界に通用するモノではなく、古典として存在するに過ぎなくなりつつあります」

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——それはなぜでしょうか?

宮田「かねがね感じている事は、神社と絡んだお祭りなどに象徴する『霽(はれ)の日』という『けじめ』を願う行事を言います。また、『二十四節氣(にじゅうしせっき)』と言うような季節の『節目』があります。

『けじめ』とは、たとえば農作物の成長・収穫を願うお祭りとか、年の初め、結婚式、お葬式などの非日常の日に行う行事です。

『節目』とは、季節の変わり目で、温度・湿度が高くなるとか、極端に暑い,寒いとか、風が吹く、嵐が来る、潮の満ち引きとかで人間の身体との関係が変化する時期を指します。そのような『節目、節目』や『けじめ』で生活と伝統工芸は存在していました。伝統工芸品は人々の生活と繋がっていた訳です。日本人にとって『けじめ』と『節目』は生きていく上で非常に重要なコトだったのだと思います。

しかし、だんだんこれらの行事は無くなってしまい、同時に伝統工芸品も社会からはみ出してしまいました。デザインをしている我々が伝統技術をどうやって世の中に残していくのかは、重要なコトだと考えています」

——それがGINZA SIXでの活動の目的という事ですね。

宮田「そうです。銀座だからこそ出来うる事だと思います。GINZA SIX側からこのようなテーマを提示され、今回の出店になりました」

——GINZA SIX店の商品はすべてゼロから商品開発となった訳ですが、そこにはどのような思いがあったのでしょうか?

宮田「残さなくてはいけないものの中で、まずはこれを!という事でスタートしたのが、我々グラフィックデザインのルーツである『家紋』を一度見直す事でした。他にも、日本の各地で高い技術で残っている伝統工芸の中から、へら絞りや漆、蒔絵、和紙、そして織物の柄など、強く引きつけるモノが幾つかありました。それらを、伝統工芸品として考えるのではなく、その技術と我々のグラフィックデザインと新しい仕組みのアイデアを考え出し、カタチにする事が大切だと思いました」

kamon__fGINZA SIX店では家紋をモチーフにした商品を展開

bunkobakoオープンを記念して制作された蒔絵の文庫箱

——伝統工芸を残していくためにデザインの役割をどのように考えますか?

宮田「伝統工芸は日本の文化であるし財産です。博物館や美術館で見るだけのモノでは無いと思います。自分たちの生活の中で存在していなくては、それらの技術も作る人もいらなくなってしまい、いつかは消えてなくなってしまうでしょう。いろいろな方法で伝統工芸の技術が残って行くかもしれませんが、継承するためのシステムが無ければ生き残れないでしょう。世界中の多くの先進国では、ほとんどの伝統工芸が失いかけています。その意味においては日本の伝統工芸は歴然として生き続けてはいますが・・・。

現代の生活習慣はスッカリ変化し伝統工芸品の使い方も変えなくては意味の無いモノになってしまいます。何の目的で商品開発をしたらいいのか?を考えなくては、必要の無いモノになってしまいます。

それは、技術そのものの表現の仕方自体から、今の時代に対応した技術を駆使する必要も出て来ます。伝統を受け継いだ高い技術だけでは今の生活の中では成立する事が出来ないでしょう。現代の工業製品の中には、伝統工芸の技術を量産化するシステムに変化させ、生産をしているモノもあります。過去のやり方を現代のシステムにしていく事も職人さん達のこれからのやり方かもしれません。

しかし、伝統工芸を作っておられる職人さん達にITを駆使したやり方に変えていくことはとても難しい問題です。いろいろな人達が伝統工芸に携わる環境づくりが必要になるでしょう。その中で、あくまでも手で作るという事の大切さが、何時の時代においても必要なのかもしれないと感じています」

——実際にオープンしてみて、手応えはありますか?

宮田「うーん、我々の思いはなかなか伝わりませんね。日本人も伝統技術や文化を大事にしないんだな!と言うのを痛感しています。ただ、やってみて思った事は、お店で『家紋』を見て、あらためて自分の『家』を再認識している人がたくさんいるように感じました。バラバラになってしまった家族や家系が『家紋』という一つの旗印の元に集まってくるような感じがしています。

2万点現存していると言われている『家紋』の中から、僅か350点を本にまとめる事しか出来なかったので、なかなか自分の『家紋』に出会えないという課題が出て来ました。『家紋』をテーマにこれから先も続けていく覚悟が出来た事は、オープン後の最大の発見でした」

kamon_book_2グラフィックデザインの観点から家紋350点をまとめた家紋本

——そうですね。大変ですがやり続ける事に意味がありますね。では、最後にこれからの展望を教えてください。

宮田「伝統工芸を古典的にやる事ではなく、現代に生きている我々のデザイン力を活かして、どうやっていったら継承できるのか?を考えていく事だと思います。商品として流通させていかなければ、伝統工芸や技術者は失われてしまうでしょう。日本の大切な財産である伝統工芸を日本の未来に残していくための課題は多すぎますが、D-BROSのやるべき仕事として挑戦していきます」

db_ginza_shopD-BROS GINZA SIX店http://db-shop.jp/ginza/

宮田識(みやたさとる)
1948年千葉県生まれ。株式会社ドラフト代表。クリエイティブディレクター。1966年日本デザインセンター入社。69年日本宣伝美術会奨励賞受賞。70年退社後、78年宮田識デザイン事務所設立。89年にドラフトに社名変更。 95年D-BROSをスタートさせプロダクトデザインの開発・販売を開始。朝日広告賞、ADC最高賞、日本宣伝賞山名賞。著書『デザインするな』(藤崎圭一郎 著/DNPアートコミュニケーションズ)

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