2015年ADC賞とJAGDA新人賞2016を受賞したドラフトのアートディレクター川上恵莉子。その受賞対象作品となったのが老舗製茶問屋「丸松製茶場」の仕事でした。「san grams」のロゴ、ショップデザイン、パッケージなどを手がけた川上恵莉子のデザイナーブログをお届けします。

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静岡県菊川市にある丸松製茶場は、100年以上続く老舗製茶問屋です。

丸松製茶場がオープンしたカフェとブランド「san grams(サングラム)」は、おいしいお茶を飲んでもらいたいという思いからできたお店です。

今から2年ほど前、宮田に直接お電話をいただいたことがきっかけでした。「ペットボトル飲料でお茶を飲む習慣により、急須で淹れる茶葉の売り上げが落ちているので、この状況をなんとかしたい」という内容でした。

まず、静岡へ行き茶畑や茶市場、生産工程などを取材していったのですが、そこで初めて知ったことは、販売されている茶葉の大半がいくつかの生産家の茶葉をブレンドしているということでした。その理由は年の天候によって茶葉の出来具合が変わってくるので、いくつかの茶葉でブレンドする割合を調整しながら、毎年同じ味をつくれるようにしているからだそうです。丸松製茶場も同じように、農家から「荒茶(※)」という状態の茶葉を買い付け、茎や芽などを選別してブレンドを行っています。

※荒茶…単一農家の茶葉が、半仕上げされた状態

sangrams_8▲荒茶が並ぶ茶市場

実際にブレンドする前のお茶(単一農家の茶葉)と、ブレンドしたものを飲み比べると、ブレンドする前のお茶は味の個性がよりはっきりと出ています。お茶の味はどれも似ている、そう思っていたことが全く違う味だと感じました。

そこでsan gramsではその茶葉の個性に目を向けて、茶葉ごとに製茶方法を変え、生産家の特徴を引き出した個性豊かなお茶をつくろうと決めました。ひとつの蒸留所で作られたモルトウイスキーを「シングルモルト」と呼ぶことから、このお茶にも「シングル茶」というネーミングをつけています。

取材をしていく中で、もうひとつ大きな驚きがありました。それは、お茶は淹れ方で大きく味が変わるということです。それぞれ茶葉ごとに異なる製法でつくられているので、全く違う特徴を持っています。それぞれに合った「茶葉の量」「湯の量」「湯の温度」「抽出時間」で淹れると、茶葉本来の個性が出てきます。深蒸茶は、甘くとろみがあり、玉露はダシのようでした。

san gramsではおいしいお茶を飲んでもらいたいという思いのもと、おいしいお茶の淹れ方を伝える場を、店内やパッケージ、リーフレット、ワークショップなどでつくっていきました。お店の「san grams」という名前も、深蒸茶、茎茶、かぶせ茶、ほうじ茶、紅茶、ウーロン茶など、どの茶葉も、一人分のお茶をおいしく淹れるための茶葉の量が3gというところからつけています。マークは、静岡県の象徴である富士山を「san」と読ませ、グラムの「g」と合わせたものです。

900_DSC00471▲san gramsのロゴマーク

お店の方向を決めるまでにかかった期間はおおよそ1年半です。その中で大切なことは、お茶を徹底的に知ることでした。そこから半年、パッケージやグラフィックに時間を使いました。外箱にはおいしいお茶の淹れ方をデザインし、中にはそれぞれの茶葉の淹れ方を書いたリーフレットを入れています。ラベルでは、お茶の個性、味の特徴、その茶葉ができた地域の特徴などを話していきました。

sangrams_5▲シングル茶のパッケージ/シングル茶の詰め合わせ6種入り

おいしいお茶を飲んでもらいたいということを中心に、お食事やお菓子、空間などもつくっていきました。お菓子は、お茶が飲みたくなるような、甘いひとくち菓子です。京都のお菓子屋さんにご協力いただきつくりました。パッケージはお茶とは対照的に考え、より感覚的で楽しいものにしています。

sangrams_6▲あん丸(こし餡の玉を、すり蜜で包んだお菓子)のパッケージ

sangrams_7▲薄はり氷(寒天と砂糖を煮詰めて固めた、琥珀羹)のパッケージ

カフェで出しているお食事は、おいしいお茶に合う地元で採れた新鮮野菜、静岡ならではの食材を使ってメニューを考えています。

sangrams_10▲日替わり和膳

また、おいしいお茶を楽しめるようにとお庭をつくりました。季節によっていろいろな植物を見ることができます。

sangrams_9▲san grams green tea & garden

まだまだ課題はありますが、おいしいお茶をたくさんのひとに飲んでもらえるように、これからも取り組んでいきたいと思います。

 

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