こんにちは。デザイナーの安田です。三年前のリニューアルからタイプフェイスカレンダーを担当しています。このカレンダーは、タイプフェイスそのものの美しさや特性を活かしたシンプルなカレンダーです。毎年ひとつのタイプフェイス(書体)をセレクトし、カレンダーを構成します。

リニューアル時から、心がけていることがあります。まずメジャー書体からのセレクトだけでなく、より美しくカレンダーに相応しいと感じる文字であること。もう一つは、その文字のバックグラウンド、文脈が面白いもの。という二点を重視してセレクトしています。

2016年の書体として選んだのは、1896年にドイツ・ベルリンのベルトルド活字鋳造所が制作した活字書体、「アクチデンツ・グロテスク」です。アクチデンツ・グロテスクは、20世紀初頭のワイマール国立バウハウスなど、近代の前衛的な学校などが効果的に使用したことで広く知られています。のちに誕生したHelvetiaのもとになったとも言われる歴史ある古典書体です。

今回この書体をセレクトした理由は、デザインの文脈において外すことのできないバウハウスやドイツ・ベルリンという街、そのベルリンが現在また非常に面白く変化を始めていることとから、歴史をクロスオーバーし、今回はドイツ・ベルリンで生まれた文字をセレクトしたいと思いました。その中で普段、生活の中にあふれており、おそらく世界で一番名前の知られている書体である「Helvetica」の元になったと言われているこのアクチデンツ・グロテスクは相応しい書体だと思い選びました。

今年は今までの壁掛けだけでなく、卓上、ポスターの計3タイプを作りました。一貫してデザインにおいて考えた点は、まずどのタイプのものも「とにかくベーシック」なデザインである事。そのベーシックデザインが、生活にちょっと良いものになることです。その考え方から、卓上は余計な形を極限まで無くすことを考えました。そのために、カレンダーだけで立っているように見えるような構造の金属製のスタンドを新しくデザインし、紙も壁掛けと共通のものを分厚い紙に合紙。カードとして自立しているような印象が出るよう心がけました。

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ポスターに関しては大きな本文のデザイン変更はしていないのですが、サイズがかなり大きいものになるので、その大きい紙の中で暑苦しすぎず、引きすぎないイメージになるよう、デザインしました。紙はポスターなので他の二種とは違うものを使用していますが、イメージがかけ離れないよう、風合いと紙自体の色味に注意して選んでいます。

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印刷に関して、普遍的な書体にとちょっとした軽やかさと気持ち良さが出るよう、軽やかなオレンジ色を作りました。ポスターはより物質的に感じるようにシルクスクリーンで印刷しています。オリジナルの色をシルクスクリーンで印刷するときに作成し、その強い印象に壁掛け、卓上の二タイプをオフセット印刷で合わせています。

 

 

安田昂弘
1985生まれ、名古屋出身。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科を卒業し、2010年に株式会社ドラフトに入社。グラフィックデザインから映像、デジタル領域のデザインまで幅広い仕事に関わる。2015年春に同社より独立。「グラフィック」をベースに幅広いジャンルのクリエイティブを展開している。