デザイナーを目指すきっかけではなく、デザインを初めて意識した時のことを覚えていますか。

私は鮮明に覚えています。

私が小学校に通っていた頃のことです。

あの頃は、本当に何もかもが楽しくて、外に飛び出して友達と遊んでばかりいました。

待ち合わせ場所は、決まって映画館のポスターが貼られている駐車場の一角。

別にお洒落ぶった訳ではありません。

なにせ、当時まだ小学生でしたし、映画は大人が見るものと思っていたので、

あまり注意して見ていませんでした。

ただただ、それぞれの家の中間がちょうどそこだったのです。

それがある日、たまたま待ち合わせ場所に早く来てしまった私は、アリを見るのにも飽きてきて、なんとなくポスターを眺めました。

そこには、机越しに向かい合った二人の男の人と一行のコピー。

「私は確かにとらわれの身だ。しかし、君は本当に自由なのか。」

なんと言ったらいいか。

その時、本当にものすごいなと思ったんです。

それまでポスターをまじまじと見たことがなかったからかもしれません。

でも、わずかな写真と文章しか配置してはいないのに、ストーリーが解ってしまうのがとてもおもしろくて、これを作ってるひとがどこかにいるんだと幼いなりに考えました。

目には見えないけど、いろんなものが作られたり計画されたりしているんだと思うきっかけになった思い出です。

あれがあったから、つまりは友達がその日遅刻してくれたからこそ、今があるのかなと思います。

その映画はといいますと、実は、いまだに観れていないのですが。

良い作品だと言う噂は耳にするのですが、私の中で大切なものになりすぎていて、理想が崩壊するのが恐ろしく、怖じ気づいて観れないというのが本音です。

いつか見てみたいです。

 

 
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雪国の冬は白。東京の冬は。

高度なデザインは、簡潔で複雑なものです。

初心は忘れるので、 思い出さなければなりません。

思い立ったばかりのアイディアは、 炊きたてのご飯のようです。