DRAFTデザイナー鼎談
福澤卓馬 × 前原翔一 × 杉山耕太

2012年6月に発売した「D-BROS FOR BUSINESS」。

このアイテムはデザイナーたちが毎日触れている紙に注目し、生まれたプロダクトです。

紙の特性や加工技術にデザインを掛け合わせてできあがった、

グラフィックデザイナーたちならではのジャバラのファイルとノートとカードケース。

今回あらためてその制作秘話を訊いてみたいと思います。
 
 
 
——まず、D-BROSの場合、一人のデザイナーがひとつのプロダクトを担当するじゃないですか。でも「D-BROS FOR BUSINESS」は、シリーズということもあってだと思うんですが、3人で共通のデザインですよね。そういう意味では異色のプロダクトだと思うんですが。

前原 男性が使えるものがほしいっていう意見があって、みんなで考えたんですよ、ステイショナリーで。

——結局この3人になった経緯は?

杉山 みんなでやってたんだけどね。

前原 そう、岩ちゃん(デザイナー:岩永和也)も天さん(アートディレクター:天宅正)も一緒にやってて、デザインは最初全然違ったんだよね。
杉山 実用性の高いステイショナリーで、各々が何作りたいか好きなものを考えて、そこからどんどん自分たちで詰めていった。それを最終的にビジネスラインとしよう! となってこのロゴができて、シリーズになったって感じですね。みんなでどんなものを作ろうって考えた時に、見たことがないものを作りたかったんです。

ただのファイルだけじゃつまらないし、ただのノートも、ただのカードケースも面白くない。それで、紙でできることで何かないかなっていうことを考えてて。それぞれが研究、研究、研究。研究しまくりました。でも新しいものが生まれる時って遊んでる時とかなんですよね。僕のジャバリングファイルもそんな感じです。みんな名刺の箱のケース持ってるじゃないですか。そこに名刺を立てて入れてたんですよ。大体こうやって積まれていくんだけど立ててね。それが束になって満杯で入らない時にそこにたまたまサクッと差したんです。

——おお!

杉山 それが上手く立ってて。それってすごく簡単ですよね。それを利用して何かできないかなって考え始めたんです。少年ジャンプを切ってタワーにしてみたり(笑)。紙を切って束にしてパソコンの上に貼ってみて、サクサクさせるようにしたり、いろんなアイデアがあって。最終的にはこの形にして旅のツールにしてもらったりしてほしいなと落ち着いたわけです。使ってみると思った以上に便利だったんですよ。

J1

ジャンプを断裁して作った試作品その1。

J4

洋書の古本で作った試作品その2。

J3

ジャバラ部分の厚みや高さ、ゴムバンドの有無など機能についても検証を重ねた。

 

02171927_54e31791d5865

ジャバリングファイル 完成版。

実家に帰る時に飛行機のチケットとか紙ペラでしか渡されないから、ファイルにひとまとめにできるのは結構いいなと。僕が面倒臭がりだから、ファイリングでケースに入れていくよりも、サクサク簡単に差していけたらなと。素材も高級路線も考えましたが、気軽に使えるという紙にしたんです。

福澤 僕は最初から革で作りたかったんですけどね(笑)。このカードケースは単純に折ってるだけなんで、簡単で新しいカードケースの構造ができたらもっとスタンダードなものになるかなと思って作ったんです。
02171920_54e315d0b7e23

——使ってますか?

福澤 僕は試作で作った革のを使ってます(笑)。
M1

前原 これができるまでにいろいろあったんですよ。男性向けのステーショナリーで定番ものって、大きく2方向あるねって、思ったんです。高級なものと、リーズナブルなものと。ビジネスラインは「賢くリーズナブルないいもの」を目標にチャレンジしたんです。今までの毛色とは異なって、グラフィックデザインというよりも紙を折った時の構造とかにチャレンジしようっていうのがあって最終的にここに着地したんですね。

福澤 デザイナーが得意な紙加工の構造から全部作ってみようということになって。

前原 だから高級な紙ではなく一般的な紙で、マットPP引いて、折りだけで何かできないかなっていうところから始まったんです。金額もその時としてはとっても安めに設定したんですね。結果として面白いこともわかって、こういうものって世の中大量生産が多いじゃないですか。その中で、D-BROSという工場を持ってないブランドがどこまで立ち向かえるかっていうのがわかった。それはとっても糧になったんですよ。

杉山 すんごく面白かったんですよ! ジャバラも通常で言うとこんなジャバラを作ることはできないから、自らジャバラのお店を探して。お経のジャバラを作る博勝堂というところを見つけたんです。ジャバラってある一定の長さまでしかできなくて、そこからは繋ぎ合わせないといけないんだけど、担当の方にいろいろと語ってここまで発展させたんです。ビスや鳩目も全部探し回りましたよ、浅草のあたりとか。

——本当にゼロから作ったんですね。

杉山 D-BROSのクリエイターズダイアリーを作ってくれている工場の社長さんも若くてすごく話しのわかる方で、いろいろ話したら乗ってくれたんです。なので、結構実験的な面白いことをやりたいっていう会社が付き合ってくれて一緒に作れましたね。このファイルは仕組み自体が新しいから、ちゃんと名前を付けようってなって、社内のコピーが上手い人にお願いして「ジャバラなんでしょ。じゃあ、ジャバリングでいいじゃん」って決めてもらったんです。

——「ジャバリング」っていう言葉はD-BROSが作った造語なんですね。

杉山 そうそう。それでさっき前さん(前原)も言ってたけど、紙の強度を強くすることもコストを掛ければふつうにできるんだけど、工夫することでそこををクリアできないかなって思った。僕らデザイナーってものを触った時の質感とかにこだわるじゃないですか。でも紙で質感のあるものってすごく高いし、なかなかできない。

そこでまた面白い人がいて、平和紙業(平和紙業株式会社)の西谷さんっていう営業の人がいて、その人営業の人なんだけど紙実験が大好きな人で、その当時、僕と岩永が西谷さんといろんな実験をしてたんです。箔をめった打ちしたらどうなるんだろうとか。工場まで連れて行ってくれて現場でやらせてくれたりしたんですね。それで、たまたま「いい質感の紙を何かの加工でできないですかね」って話したら、ふつうのカード紙にマットPPを貼ることによってちょっとぬめりのある感じ、革とまでは行かないけど質感を味わえるものが出来上がりましたって来てくれたんです。これは結構面白い! って。すごくマニアックな話なんですけど。それでみんなに見せたら「これいいじゃん!」ってなったんです。

——いろんな実験の結果がこのプロダクトだったんですね。

杉山 ちょっと世間と違うことをしていくと、違う問題にぶつかる。強度とかコストとかね。

前原 ステイショナリーってそういう課題がありますよね。大手は丈夫で安いもの作れてしまう。だけど、単純に丈夫な素材にすると高くなるし、安くするためにロットを増やそうとしても販路が、、とか。

杉山 で、安くて値段を下げながらそういうものにしようとすると、既視感があるものになっていく。要は工場のラインにハマるように作らないといけないから。

——なるほど。そこを実験を重ねて上手く潜り抜けたのが「D-BROS FOR BUSINESS」なんだ。これが出来上がった時は3人で祝勝会とかしたんですか。「やったー!」みたいな。

前原 品川の直営店に初めて置かれた時に見に行ってそのあと……。

福澤 ああ! 行った! お店に見に行って夕方ビアガーデンに行きました!

杉山 (笑)。

ーー2015年あらためて「D-BROS FOR BUSINESS」のオススメは?

福澤 2015年ね。月日が経って一度熟成したらね。でもやっぱり、カードケースは新しい構造っていうのが一番なんですよね。

前原 実用的という意味でビジネスって付けたんですよね。だから仕事だけじゃなくて、旅行とかいろんなシーンで使ってもらえたらと。チケット挟んだりノートに書き込んだり、一生ものとして使うっていうより、どんどん使い倒してもらえたらと思ってます。

杉山 そうそう。

福澤 僕はちょっと進化板をこれから作りたいな。

——じゃあ、3人の写真を撮りたいんですけど、顔写らなければいいですか?

杉山 いや、顔だけでもいいよ(笑)。

福澤・前原 あははは。

IMG_4895-3

杉山 これってセット販売できないの?

——できますよ。やってみますか。

福澤 セットだと嬉しいよね。

前原 セットにするとロゴも全部見えていい感じになるように作ってるんですよ。

IMG_4907-2

杉山 何かちょっと気軽に使ってほしいんですよね。ずっと持ってもらうというより、さらっと。

制作デザイナー3人の希望セットをD-BROS WEB STOREにて限定販売いたします。

「JAVARING FILE・PEN AND NOTE・PAPER CARD CASE」の3セットを単品でお求め時よりもちょっとだけお得にしました。新生活にもぴったりな「D-BROS FOR BUSINESS」は新入学、新入社のお祝いギフトにもピッタリです。

紙の特性や加工の面白さを味わえる「D-BROS FOR BUSINESS」の詳細はこちらです。

http://db-shop.jp/products/list.php?category_id=20
 
 
 
 
 
A-016
福澤 卓馬
1981年東京生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
2005年ドラフト入社。
 
 

ms:g 2
杉山耕太
1983年福岡県生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
2008年ドラフト入社。
 
 

前原 翔一
1982年東京生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
2006年ドラフト入社。